コラム | 2024-07-17
ポリエステルの正しい洗濯方法|混紡素材別の失敗しない洗い方は?
ポリエステルの正しい洗濯方法|混紡素材別の失敗しない洗い方は?
ポリエステル製衣類を洗濯するときは、洗う前に洗濯表示をしっかり確認し、正しい方法で洗う必要があります。合成繊維のなかでも多くみかけるポリエステルですが、中には自宅の洗濯機で洗えない服もあるため注意が必要です。 そこでこの記事では、ポリエステル素材の特徴とポリエステルの種類に応じた洗濯方法を解説していきます。プロのクリーニング屋さんに任せることも視野に入れつつ、ポリエステル製衣類について、正しい知識を身に付けていきましょう。
ポリエステルとは?
ここでは、ポリエステル製衣類の特徴をご紹介していきます。ポリエステル素材の特徴をおさえて正しく洗濯していきましょう。
ポリエステルの意味
ポリエステルは化学繊維の一種で、いくつかあるポリエステル繊維の総称です。一般的にポリエステルと呼ばれるものは、ポリエチレンテレフタレート(Poly-Ethylene-Terephthalate)のことで、英語ではPETと略されます。毎日見かけるペットボトルも、このポリエチレンテレフタレートで、ポリエステル製衣類と同じものです。 ポリエステル繊維は、原料であるテレフタル酸やエチレングリコールといった化学物質を高温で融解させ、繊維として紡いで作られます。テレフタル酸やエチレングリコールは、石油や天然ガスから精製される化学物質なので、普段着ているポリエステル製衣類も、元を辿ると、石油や天然ガスといった天然資源です。 ポリエステルは、天然繊維より価格も安く丈夫なため、合成繊維のなかでも、もっとも幅広く活用されています。先にあげたペットボトルを含め、ワイシャツ・ブラウス・コート・フリース・ワンピースといった衣類や、カーテン・テーブルクロス・バスタオル・布団のほか、タイヤの補強素材にもポリエステル素材が使われています。
ポリエステルの特徴
ポリエステル製衣類は、シワになりにくく、乾きやすいのが特徴です。耐久性も高いため、スポーツウェアや登山ウェアにも、ポリエステルはよく使われています。 その一方で、汚れが吸着しやすく、毛玉ができやすいといったデメリットもあり、長持ちさせるにはお手入れが大切になるでしょう。汚れた洗濯物と一緒に浸水させておくと、ポリエステル製の服が汚れを吸い取ることもあるので、注意が必要です。 また、ポリエステル生地は吸水性や吸湿性が低く乾燥しています。その分、静電気も発生しやすいため、冬場など乾燥している季節は、注意が必要かもしれません。 加えて、ポリエステルは熱に弱く溶けやすいため、冬場にストーブやヒーターを使っているときは要注意です。寒いからとうっかり近づきすぎると、衣類の一部が溶ける可能性があります。 アイロンがけのときも、熱で繊維が溶け、表面がテカテカすることもあるので、注意が必要です。ポリエステル製衣服をアイロンがけするときは、低い温度で丁寧にアイロンがけしていきましょう。
ポリエステルの衣類の正しい洗濯方法
ポリエステル製衣類を洗濯するときは、洗濯表示を確認しましょう。ここでは、素材別に洗い方の手順を徹底解説していきます。
ポリエステルの衣類の洗濯前に確認すべきこと
ポリエステル製衣類を洗濯するときは、最初に洗濯表示を確認してください。基本的には自宅で洗濯可能ですが、水洗い不可のポリエステル衣類もあります。桶にバツが付いているマークがあれば、自宅で洗濯できません。その場合は、クリーニング店に依頼しましょう。 また、水洗いOKの衣類も、「洗濯機の使用OK」と「手洗いOK」に分かれています。「手洗いOK」の洗濯表示がある衣類はデリケートです。洗濯機で洗うと負担がかかり、洋服が傷むため、洗濯機で洗わないように注意してください。
関連記事:「新洗濯表示の記号や意味は?新しいマークについてわかりやすく解説」ポリエステル100%の衣類の洗濯方法
・「洗濯機の使用OK」の場合
- 目立つ汚れやシミがあるときは、中性洗剤をかけてつまみ洗いをします
- 洗濯ネットに入れから洗濯機へいれてください(毛玉ができやすく摩擦を防止するため)
- 衣類用洗剤(弱アルカリ性洗剤)をつかって、ドライコースか手洗いコースを洗濯します
- 洗濯が終わったら、軽くシワを伸ばしてから干しましょう
・「手洗いOK」の場合
- 目立つ汚れやシミがあるときは、中性洗剤をかけてつまみ洗いをします
- 洗面器や洗面台に、洗濯洗剤を混ぜたぬるま湯(30℃〜40℃)を作り、15分ほど浸け置きします
- やさしく手洗いで汚れを落としていきましょう
- 洗い終わったら、軽くシワを伸ばしてから干します
どちらの場合も、ポリエステル製衣類に負担をかけない準備が大切になります。頑固なシミを落としたいときは、漂白剤があると便利です。 手洗いのときは、強くもみ洗いしないよう注意しましょう。ポリエステルにデリケートな素材が含まれているときは、洗浄力の優しい、おしゃれ着用中性洗剤を使うと安心です。
ポリエステル混紡素材の衣類の洗濯方法
- ポリエステル×綿の場合
ポリエステル×綿は、基本的にポリエステル100%の衣類と同じ洗濯方法でOKです。洗濯表示をチェックして、洗濯機か手洗いかを確認してください。
- ポリエステル×レーヨン
レーヨンとは、綿や木材を溶かしたものを、繊維に紡いだ再生繊維です。シルクに似ていますが、シルクと同じようにデリケートな素材で、水に弱い特徴があります。洗う前に、レーヨンがどのくらいの割合使われているかをチェックしてください。レーヨンの割合が高い場合は、クリーニング店でプロに任せましょう。 自宅で洗う場合の注意点は、水に浸ける時間をなるべく短くすることです。脱水も短い時間を設定して、乾燥機能は使わず、日影で自然乾燥させましょう。型崩れを防ぐため、衣類に合ったハンガーで干し、風通しの良い場所で干すのが、きれいに乾かすポイントです。
- ポリエステル×アクリル
アクリルは、ポリエステルと同じく、石油を原料とした合成繊維です。縮みにくいが伸びやすい特徴があるため、ニットやセーターなどによく使われています。アクリルが使われている場合、「洗濯不可」か「手洗いOK」の洗濯表示になっていることが多いでしょう。 また、ポリエステル×アクリルは、毛玉ができやすいデメリットもあります。洗濯をする回数や頻度も減らすためにも、衣替えのときにだけ洗濯するようにしましょう。自宅の洗濯機で洗うときは、おしゃれ着用の洗濯コースで優しく洗うのが、きれいに長持ちさせるコツです。
- ポリエステル×ナイロン
ナイロンも、ポリエステルと同じく、石油を原料とした合成繊維です。丈夫な素材で、アウターやスポーツウェアによく使われています。基本的な洗濯方法は、ポリエステル100%の衣類と同じでOKです。 ただし、ナイロンが含まれている衣類は、水をはじく撥水加工が施されているものも多く、洗濯機で洗うと、すぐに加工が落ちてしまうかもしれません。撥水加工がされている衣類は、手洗いで優しく洗ってください。 ポリエステルも熱に弱い特性がありますが、ナイロンも熱に弱い特性があるため、洗濯機の乾燥機能を使うのはNGです。黄ばみや色あせを避けるため、直射日光を避けるなど、乾かし方にも注意してください。
関連記事:「レーヨンをクリーニングに出す基礎知識|素材の特徴と要注意ポイント」
ポリエステルでクリーニングに出した方が良い衣類
ポリエステル製衣類は自宅で洗うこともできますが、洗濯不可なものや、デリケートな繊維のものもあります。そんなときは、洗濯のプロにお任せするのがおすすめです。
洗濯不可のもの
洗濯不可の洗濯表示がある場合は、自宅で洗えません。洗濯不可の服を自宅で洗うと、色落ち・色移り・縮み・しわ・カビや臭いの原因になってしまいます。洗濯不可の衣類は、クリーニング店にお願いして、プロにお任せしましょう。クリーニング店なら、素材にダメージを与えない方法できれいにしてくれます。忙しい方には、宅配クリーニングもおすすめです。
デリケートな繊維のもの、混紡されているもの
レーヨンやアクリルが含まれている衣類は、デリケートであるうえ、混紡されている衣類は毛玉ができやすい特徴があります。自宅で洗濯するときは、優しく手洗いで汚れを落とし、乾燥させるときも陰干しでゆっくり乾かすなど、丁寧に仕上げていきましょう。 手洗いの方法に自信がないときや、万が一失敗して、大切な服が着られなくなる不安があるときは、クリーニング店に依頼するのが賢明です。
ポリエステル衣類は素材に合わせて洗濯しましょう
ポリエステル素材の衣類は、シワになりにくい、乾きやすいといったメリットがある一方、汚れを吸収しやすく、熱に弱いといったデメリットもあります。洗濯する前に、「洗濯機の使用OK」「手洗いOK」などの洗濯表示を確認しましょう。 自宅で洗濯する場合は、含まれている素材に応じて洗い方を工夫し、乾かすときは直射日光を避けた陰干しにしてください。デリケートな素材も多いため、自宅での洗濯が不安なときや、洗濯不可の衣類は、クリーニング店にお任せしましょう。